pazuのノスタルジックな道具

愛着の道具と遊びの回顧録

夢酔独言

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NHKBS時代劇で「小吉の女房」ってのが放送中ですが内容はともかくこの小吉という人が驚くべき人物で生涯小普請組(ムヤク)で終わりますが幼少期から放蕩無頼、喧嘩師、剣客、死ぬことなど屁とも思わない。勝の家の貧乏たるやドラマとは大違いで冬季に炭も買えなくて壁板引きちぎって燃したといいます。この家の婿ですが実家の男谷家は裕福で祖父は米山(男谷)検校で小吉の父平蔵に旗本男谷家を継がせます。大名貸で得た利殖で御家人株を買って婿養子に入れて家禄継承ということですね。勝家も男谷家同様に小吉が幼少から婿に入りますが実際は男谷の家で奔放に暮らします。剣聖男谷精一郎信友も検校の孫ですが兄彦四郎の養子に入ってるので叔父甥の関係ですが子分同様でもう一人の従兄弟と三人で地回りのヤクザ共と命のやりとりなんぞ日常茶飯事。こやつら剣を取っても喧嘩をしても幕末最強かと思いましたね。。剣聖男谷精一郎は江戸期最強剣士かと思っていたらこんなヘンな叔父さんまで出てきて驚きでした。


破天荒とはこのオジサンのことで島田虎之介も形無しです。水野の改革の天保年間に逐電した無一文の鼻垂れ小僧が箱根の関所を越えて伊勢参りをして戻るのですから啞然とします。これが一度じゃない。後年夢酔と号しますがこの本はオイラのようになっちゃいけねーよ。戒めにしておくれという子孫への遺誡ですね。小吉関連本も多々ありますががボクが漁るように読んだのは30年も前ですがきっかけは坂口安吾でした。息子の麟太郎も「氷川清話」を遺しますが桁違いのヤンチャぶりです。粗野だけどどこかしら品があって憎めない人物。