pazuのノスタルジックな道具

愛着の道具と遊びの回顧録

Nikon マイクロニッコール55mm

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亡き父のカメラ好きが高じて暗室まで用意してモノクロの全紙現像を始めたのはボクが小学生の頃で五十数年まえの話。春夏秋冬テーマもめぐりましたが父が一番好きだったレンズはマイクロニッコール55mmでした。マイクロニッコールには105mmもありました。これだと昆虫などを驚かすことなく距離を確保できるのですがお金に余裕がなかったものと思われます。
一度接写にハマるとのめりこむ様になって被写体を求めます。ボクも父の年齢になって同じになっていました。同じようにマイクロニッコールの55mmと105mmを持って支笏湖周辺をうろついていました。これもまた三十年前の話。
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 マクロの世界を覗くとどうしてもファーブルと熊谷守一画伯のことを思うのですね。熊谷守一は晩年の宇野重吉似の風貌で庭の片隅にしゃがみ込んでアリの巣を眺めて飽くことがなかったそうです。疲れると寝転がったりして。
 実際アリの巣を観察していると自分たちの何倍もの昆虫や蝶をチームで担いで巣へと運びます。神輿のようですが誰がリーダーシップをとって誰が掛け声をかけるのだ?迷うことなく停滞なく巣へと獲物を運び入れます。日本が世界に誇る最新型10式(ひとまる式)戦車の編隊フォーメーションよりもっとすごい。あれを観ると人間なんて大したことないなあ。まあアリの中にもサボる奴がいるんですけどね。
 熊谷守一の絵はいいですよ。アリのデッサン、単純な線で描かれていますが特徴をとらえています。蛇足ですが彼の猫の絵はたまりませんね。猫嫌いのボクでもマッタリした気持ちになります。