pazuのノスタルジックな道具

愛着の道具と遊びの回顧録

サンスイ SP-LE8T

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30年以前(昭和52~3年頃)は川越にいました。すぐそばにボクより年長の従兄弟の家がありました。彼の友人等とボクの5人で毎月2度のJAZZコンサート&飲み会をノルマにしていました。彼らは大学は別でも同級で学生時代からJAZZのカルテットを組んで久しく社会人になってからも月に一度は渋谷の貸しスタジオで音合わせをしていました。ドラムのK氏、サックスのN氏、ピアノは音大でクラシックを教えているM氏にベースの従兄弟の4人です。銀座の行きつけのJAZZバンドが入る店へ行くとM氏は有名人で常連客もよく知っていて広い店内でM氏コールが起きます。ピアニストが立って席を譲ります。断れきれず“じゃあ肩コリでもほぐしてくるかあ”などと言ってバンドの連中と一言二言交わして弾き始めます。大学では楽譜どおりのクラシックで肩がこるそうで・・・たびたびドイツ留学でいなくなります。一方K氏とN氏はあきれたオーディオマニアで静かに張合って互いを出し抜くのに生きがいを感じています。ベンツが買えたんじゃないの?とボクが言うと小さめのベンツなら2台くらいかな。

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従兄弟も素晴らしいオーディオを持っていましたが二人に比べると粗末なものになっちゃうのかな。彼は学生時代にその頃生産中止になっていたサンスイのSP-LE8Tが欲しくて堪らずJBL製のLE8Tフルレンジユニットを自分で別売の箱に入れて組み立てたそうでそれが大のお気に入りでした。ところが酒の勢いで姉の旦那にあげてしまったらしくずっと悔やんでいたようです。それぐらい忘れられない音だったようです。ボクがオーディを買うと言い出すとお願いだからサンスイから復活販売になっているSP-LF8Tにしてくれと懇願します。音は保証するし買うならアンプを差し出すとまで言ってくれてるし・・・よし!まかせた!ということで早速秋葉原のK氏の勤務先で激安にしてもらって(でも高かったな)従兄弟とK氏がクルマで運んできてくれました。中身を出して格子グリルをはずすとフルレンジ1個だけのバスレフスピーカーで密閉3ウェイのダイヤトーンしか知らないボクは穴の開いた冴えない外観に期待感はたちまちに萎み始めて疑念すら浮かびはじめて・・・ところが音を鳴らすとそれは杞憂で暗雲はたちまちに消えてなんだか魔法にかかったような・・・なんでこんなにいい音が出るのか不思議で不思議でなりません。20㎝のスピーカーがたった1個で・・・すぐに白いコーンもJBLっぽい檜の格子グリルもなにもかにも好くなってくるのでした。最初に何を聴くかでもめたのは憶えていますが何を聴いたのかはハッキリしません。その時従兄弟がくれた高価なアンプが何だったのかもどうしても思い出せません。なのにその時いっしょに従兄弟が買ったアンプは何故か覚えているのです。はじめて聞くSTAXのDA-80でした。川越街道沿いの三芳町に会社があったと記憶していますが勘違いかもしれません。

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札幌に戻るときはお世話になりっぱなしの従兄弟へSP-LE8Tをプレゼントしました。アンプも返してランサーGSRと帰りました。JAZZ好き、オーディオ好きは高校生の頃からですがボクのうなぎ好きは川越の“いちのや”から始まったものです。