pazuのノスタルジックな道具

愛着の道具と遊びの回顧録

ヒメトロ

f:id:Qjiro:20200320103701p:plain

6月1日は道央河川と支笏・洞爺湖のチップ解禁日です。チップとはヒメマスのことで紅鮭の陸封型で太古に阿寒湖に遡上したものが火山活動で堰き止められて以来そこで命を繋いできたものです。明治になって支笏湖へ放流、そこから十和田、富士五湖へ広がっていったものです。ヒメマスはシャケ科四属の中でも珍しいプランクトンイーターです。支笏湖は透明度が高くそもそも貧栄養湖なのでチップも大きくなるのが大変だろうと思います。特に近年は1メートルにもなるブラウントラウトの台頭が著しく在来のアメマスとともに脅威にさらされているようです。

毎年5月31日の夜からポロピナイ湖畔に船を引っ張って陣取ります。どんどん船が集まってきます。真っ暗闇のうちから係りの誘導にしたがって順番に船を出していきます。たいていは一番先に船をだしていました。会議をすっぽかして何がなんでも6月1日は支笏湖にいるわけですから不良社員です。昨年あたりから漁業権が設定されて遊魚料が取られるようです。

船には電動船外機をつけて大型バッテリーは予備も入れて2個積み込みます。試した仕掛けは数知れませんが毎年工夫があるので進化?して手作りのオリジナルになっていくものです。数を釣るなら棚さえ合えばサビキが一番です。シマノのデジ棚を使います。ここには書けませんが群れを縛りつけるのに少々品のないことをしたこともありました。仲間と船の上でビールを飲みながら解禁日を楽しめればいいので忙しい釣りは止めてトローリングか鉛入りのレッドコアラインを使ったハーリングで船をトロトロ走らせるわけです。支笏湖の山全体がエゾ春蝉の鳴き声、群青にグリーンを溶かしたような濃い湖の色・・・なんとも言えない幸せな気分になります。

f:id:Qjiro:20200320103830p:plain

湖畔の夜明けは美しく神々しさを感じます。だけど寒さが半端じゃなくてキャビンで毛布に包まって寝てる奴もいます。ホットウィスキーで身体を温めます。恵庭岳のてっぺんから朝日がさしてきます。

f:id:Qjiro:20200320103859p:plain

f:id:Qjiro:20200320103921p:plain
陽も高くなると誰も来ないオコタン手前のワンドに船を寄せて七輪で焼肉パーティーとなります。冷たい缶ビールを片手に対面の不風死岳をボンヤリ眺めていると幸福感に満たされます。

f:id:Qjiro:20200320103946p:plain

f:id:Qjiro:20200320104003p:plain