pazuのノスタルジックな道具

愛着の道具と遊びの回顧録

ヤス

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今年の夏休みシーズンも終わりましたが小学生の頃の夏休みの思い出は圧倒的に海です。少し潜れるようになると目の前を魚が横切ります。よく見たのはタナゴで数匹以上で群れてある一定のルートを回遊しているようでした。貝を起こしたりするとどこからともなくアブラコ(アイナメ)が現れます。それも大型が現れるとどうしても狩猟本能が湧いてきます。アワビ起こしを作ってくれたジイサンのところへ行ってヤスを作れるかと聞きますと二つ返事で“あした取りに来い”で作ってくれたのがカエシの小ぶりな一本ヤスでした。たぶん太めのピアノ線を叩いて熱処理したものだと思います。釣具屋へ行って竹の一本竿を買って適当な長さに切ってヤス先を取り付けて翌日早速海で実戦に使用しますと竹の節の空気が浮力となって水中で落着きが悪く狙いが定まりません。試行錯誤があってその問題はクリアしましたが魚を突くには小学生の腕では全くのスピード不足で逃げられてばかり。

夏休みで年上の従兄弟たちが集まってきてボクのヤスを見て“バカだなぁゴムを使うんだよ”ということで薬局へゴムチューブを買いに走ったかタイヤチューブを切ったかは記憶が定かではありませんがボクのヤスは完成型を迎えます。獲り方も巧妙になってウニを水中で石で叩き潰しておいて立ち泳ぎをしながら待ち構えているとアブラコやガヤ(メバル)が現れます。ゴムをパンパンに引き絞って握りを緩めるとヤスは素晴らしいスピードで獲物に突き刺さります。ほぼ百発百中で水中ハンティングに本能を満たされたボクは有頂天で“とったど~”でした。熟練したハンターは頭を打ち抜くのです(笑)

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